Joy’s diary

多分役に立つことはありません

夏だし怖い話する

お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。

「夏だし怖い話するかぁ」と思い立ち、Twitterでアンケートを取ったので人気だったやつを書きます。

え?もう夏じゃない? 正論は時に人を傷つけることだってある。覚えておけ。

本題

旧友から連絡が来た

それは蒸し暑い大学4年の夏のことでした。 いつものように輪講のレジュメをせっせと作っている時に高校の頃同じ部活だったAから連絡が来ました。

A「久しぶり!ゼミが結構緩くて暇してるから、今度飲みに行かない?」

Joy「おー久しぶりやな。こっちはちょっと忙しいけど、せっかく誘ってくれたしなんとかするよ」

大学4年の夏に「暇してる」と言えるのが衝撃的でしたが、Aは文系だったので理系の自分とは違うのだろう、そう納得して時間を作ることにしました。

1回目

8月某日、時間を合わせたAと自分は都内某所の居酒屋で3年ぶりに顔を合わせました。

A「うわー、久しぶりだな。結構忙しそうだね」

Joy「やることは無限に出てくるからね、文系の方はあんまりわからないけどこの時期はもうやること終わってるんだね」

A「さすが国立様は研究熱心(笑)。俺はもう遊ぶことしか考えてないや」

Joy「褒めてんのかDisってんのかわからん」

お決まりの再会トークから始まり、1軒目はしばらく他愛もない話をしていました。

A「2軒目は落ち着いて話せるバーに行こう」

1軒目を出た後、そうAが提案してきました。 キラキラ大学生じゃなかった自分は店選びをAに任せることになり、しばし店を探しに散策することにしました。 街を散策した末、Aは少し高そうなバーに目をつけました。 内心バーの相場がわからず(手持ちで足りるか……?)と思いましたが、

A「いざとなったら俺が出すから平気平気」

ということでそのバーに入店することにしました。

店内はAの要望通りの黒を基調とした落ち着いた雰囲気で、席についてAが頼んだものを続くように「同じものを」とオーダーをしました。

会話の内容は1軒目のように少し他愛もないことから、程なくして将来の話に移っていきました。

A「就職とか考えてるの?」

Joy「いやー、とりあえず大学院行ってから考えるかな」

A「大学院か、すげぇな。俺は最近投資に興味があって」

Joy「あー、投資かぁ。興味はあるけどそこまで手が回らないんだよな。資金もないし」

A「興味あるんだったら一緒に勉強しない?」

Joy「お、それは意外とアリかもしれない」

当時塾講師をしていた自分は投資に興味はありつつも、学生という身分であることや資金の少なさを考えるとあまりリスクを取れないと考えていました。 しかし将来資産が増えた時のために情報を仕入れておくのは悪くないという思いでAの提案する勉強会に参加することにしました。

A「じゃあ今度また都合いい時に連絡するから」

Joy「頼んだ」

既に終電の時間はとっくに過ぎて間も無く始発の時間ということもあり、次にまた会う約束をしてその場は解散することになりました。

2回目

Aと会う約束をして数日後、場所を変えて再び会う運びになり都内のカフェで落ちあうことにしました。 この日はAから事前に「自分より前から勉強してる人も連れてきてもいいか」と聞かれたので、情報を仕入れる先は多い方がいいと思い承諾していました。

Aの先輩?「どうも、君がAのお友達かな?」

Joy「初めまして、今日はよろしくお願いします」

先にAとカフェで落ちあって話しているとAの先輩らしき人物が合流して自己紹介した後、勉強会がスタートしました。

肝心の内容は今となってはあまり詳細には覚えていませんが、投資に関して知識がない自分でも少し(おや……?)と思う内容が散見されるものでした。 この時点で少し雲行きが怪しくなって来たのを感じていましたが、単純に自分が無知である可能性があるのですぐには突っ込むことができず、成り行きで話を聞いていました。 またこの辺りから万が一Aが加害者側である場合はこちら側に引き戻してやろう、そう考えるようになりました。

その場は質疑応答も交えながらその日は小一時間で解散することになりました。 帰り道はAと同じだったので

A「結構鋭い質問してたね」

Joy「いつもの輪講の悪い癖出てたかな」

と勉強会の内容を上の空で振り返りつつ歩いていると、

A「いやいや、悪いことないよ。あ、次は◯◯の社長が同席してくれるって!」

Joy「ほう??」

次の勉強会の予定を立ててAと別れました。

思えばこの時点でまともな勉強会である可能性を捨てて、Aを引っ叩いてでも目を覚ましてやるべきでした。

3回目

よく知らない会社名を挙げられてその会社の社長が同席すると伝えられてから数日後、ついに決戦の日がやって来ました。

都内の高級そうなカフェに召集されてAと待っていると、社長と思しき人物とその奥さんと思われる人物が声をかけて来ました。

自称社長「やあA。それと、君がA君のお友達かな?初めまして」

Joy「初めまして、今日はよろしくお願いします(ディベート対決的な意味で)」

自称社長「今日は色々と質問を用意してくれたということだけど、最初に少しこちらから投資に関して説明をしてもいいかな?」

Joy「はい、大丈夫です」

1ミリでもまともな勉強会である可能性に賭けていましたが、現実は非情でした。

自称社長「弊社の開発したシステムを使うことでこれだけ儲けることができる」

自称社長「弊社のシステムは広まりすぎるといけないので紹介制になっている」

自称社長「A君もこのシステムを使っている」

自称社長「紹介でシステムを購入した場合に紹介した人にもインセンティブを払うことになっている」

聞けば聞くほどねずみ講でした。 途中途中でまともな質問をぶつけてみましたが、はぐらかされてとにかくシステムを使うことでどれだけ儲かるかの話を延々と聞かされることになりました。 最後の方はゲンナリしてとりあえず頷くだけの人形になっていました。

地獄はここから

自称社長とその連れと別れた後、別のカフェに入り

A「いやぁ、本当にためになる話だったな!」

と目をキラキラさせながら語るAのとても眩しい姿は、自分に「とにかくこいつを沼から引き摺り出さなければ」と決心させるにはあまりにも十分でした。 とりあえず適当な話をしながらどこから突っ込んで論破しようか考えていると、

Aの先輩?「やあ、Aに呼ばれたので来たよ」

終わった。 これは引き摺り出すとかの問題ではない、最悪引き摺り込まれる。 危機感を覚えた自分は「◯◯さん!」とはしゃぐAの隣でAを救うことではなく、なんとか逃げ出す策を考え始めていました。

Aの先輩?「システムを使うことでこれだけ儲けることができる」

Aの先輩?「システムは広まりすぎるといけないので紹介制になっている」

Aの先輩?「A君もこのシステムを使っている」

Aの先輩?「紹介でシステムを購入した場合に紹介した人にもインセンティブを払うことになっている」

最初の方の話のほとんどは先ほど聞いたリピートでしたが、時間が経つにつれ

Aの先輩?「確実に儲けることができるんだから借金してでもシステムを買うべき」

Aの先輩?「学生なんだから奨学金借りられるでしょ?」

Aの先輩?「やると今日決断しなければ人は決断しない生き物だ」

と半ば脅迫じみた内容に変わっていきました。 これに追い打ちをかけるようにAも繰り返し唆してきます。

A「俺は一緒にやりたい」

A「これを通して未来が拓けていくならやらないという選択肢はない」

敵に挟み撃ちにされもはや恐怖で何もいうことができず、程なくしてカフェに人が増え始めたのをみて手洗いに立つことにしました。 手洗いの個室の中の永遠とも思える数分で帰りの経路を調べていたタイミングで昼に蒙古タンメンをAと食べていたことを思い出し、ここは腹痛を装い解散させる作戦に打って出ることにしました。

無事その作戦が成功し解散になった後、駅まで一緒だったAは悪びれもせずまた会う約束を取り付けようとして来ました。

A「今日は長いことありがとうな、この話はまた会ってしよう」

Joy「あー、タイミングが良ければね」

とにかくこの時は他にAの仲間がつけて来ていないかが怖かったのでそれとなく返事をするだけでしたが、話の中で気になることをAは呟きました。

A「早くBも交えてこの話したいんだよね、かつての部活仲間集まりたいじゃん」

帰りがけに名前が出たBは同じ部活の同期でした。

家に帰るやいなや、Bにはこの事実を伝えなければ被害が拡大すると思い、注意喚起の連絡をすることにしました。

その時のやりとりが残っていたので、最後にその画像を貼っておきます。

注意喚起の一部始終